もういちど二人で走りたい / 浅井えり子

もういちど二人で走りたい

もういちど二人で走りたい

有名なランナー浅井さんが、実業団の時の佐々木コーチとの出会いから最後看取るまでを綴ったもの。不倫と言えばそうなんだけど、色々な世間からの言葉にじっと耐えている様子だとか、素直な言葉で綴られているぶん、胸にこたえた。末期ガンでコーチの最期を看取るところは、とてもとても、かわいそうだった。手放しで喜びあいながら、どれだけ一緒に走りたかっただろうと思うと、都営新宿線の中で泣けた。ただ、今の私自身で考えれば、自分のところで最後亡くなってくれたなんて幸せで羨ましく思う。私のところで全身麻痺になってくれたら。私のところで痴呆になってくれたら。そんなことを思った相手は、後にも先にもひとりだけ、でした。