ウスケボーイス / 河合香織

ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち

ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち

山梨県の葡萄農家で育った私は、毎夏葡萄の出荷作業を手伝った。父がカゴ一杯に収穫してきた葡萄の、よくない実を切り、色と重さで等級に分けるのが主な仕事だ。一斗缶に集めたよくない実は、まいにち勝沼のワイン工場のひとがトラックで取りに来た。虫が付いていたのとかがワインになるんだ、えーと思った。私はそんな程度の認識しかなかったが、この、山梨大学大学院発酵科学研究施設に入学した3人は、紆余曲折・切磋琢磨しながら、日本には不向きとされていたワイン用の栽培から瓶詰めまで一貫して行っている。この本はそのドキュメンタリー。分かることも多いだけに夢中になって読んだ。
家族や周りから反対されても、自分が望む味にたどり着くまで命がけでとりくむ姿は、本当にすごい。そういう男性は魅力的だけど、実際自分のダンナだったら本当に大変だろうなー。だが、誰かが命を懸けるからこそ、何かがかたちとなる。自分もそんな仕事をしてみたい。私が毎晩飲んでいる安ワインはバルクものだけど、もっと、自然のほんとの味を飲んでみたいと思った。