死ぬという大切な仕事 / 三浦光世

死ぬという大切な仕事

死ぬという大切な仕事

既に体が思うように動かない綾子さんがおっしゃった、「わたしには死ぬという大切が残されている」がタイトルとなった本。物理的な死は自然に迎えるものだけれど、ひとつひとつの思い出を修め、執着を断ち、さよならを言って、勇気を奮って元いた世界に帰って行くという精神的プロセスは、まさに大切な「仕事」だろう。私にもそれが残されているんだと思うと、いくばくかの安心感と、あまたの不安でいっぱいになる。人は死んでもラクにはならないのだ。
この本は妻・綾子さんを看取った後、夫・光世さんが書き記したものだ。そこここに愛があふれていて、あぁ信仰のあるご夫婦ってこんなにも光っているのだなと再認識する。もちろん生前はいろいろあったのだろうけれど、死を迎えるとチャラになるのかもなぁ。