聖女の条件 / 竹下 節子

ひたすら面白かった!本書は聖母マリア・聖女リタを中心に、シスター・エマニュアルやジャンヌ・ダルクまで、聖母・聖女といわれる女性を撮り上げている。・・・と言えばそれまでだが、すごかったのは、彼女たちをRespectしながらも、歴史的背景を徹底的に調べた上、非常に現実的な見方で分析していることだ。説得力ありあり。ううむ、比較文化史家とはこうもすごいものなのか、と感激すら覚えた。

さらに感激したのは、本書で知った聖女リタ。結婚した相手はDV男。その後何者かに殺されてしまい、双子の子供は復讐に燃える。そんな彼らに「子供たちが恐ろしい罪を犯すくらいなら、子供たちが死を見るほうがましと思うのです」と言い、神に祈り続けたら二人ともペストであっさり死んでしまった。独りになったリタは修道院へ行ったが、拒否されまくり。様々なミラクルでなんとか入った。しかし修道院ではいじめにあう。そしてある日祈っていたら、キリストの茨の冠から棘が彼女の額に刺さり、彼女は気絶した。傷からは以来悪臭が放たれ、独房に隔離された・・・と、壮絶な人生。聖女と認められたのは、厚い信仰心、独房で病床の身であっても人々の相談に乗り続け、数々の奇跡を起こした等々の理由だ。しかも遺骸は腐敗せず、カスシアの聖女リタ教会に今もいて、会うことができる。聖女認定システムは非常に疑問であるが、人々が厚く信仰するのには理由があるものだ。この聖女リタ・バジリカの話には驚いたが、同時に親しみももてた。

感想がありすぎて、うまくまとまらないくらい。すごーく勉強になったな。ワタシ的には、ただひたすら面白かったのでした。