白い乳房 黒い乳房 / 谷川 俊太郎

こ、これは・・・衝撃を受けてしまった。「ラブ・メッセージ」を軸に、世界各国の詩をあつめたものなのだけど、言葉がこんなにも生き生きしているなんて!
出典された詩人がよむ詩は、亡命地であったり、恋に苦悩中であったり、亡き父のランニングを見つめる家の外であったり。それぞれの環境の中からつむがれることばが、必ず心のどこかどうかにひっかかる。国籍や肌の色がちがっていても、悲しい時は悲しいし、嬉しい時はうれしい。こころに ちがいなんてないのだ。
私はバボーキン・ルハグバスレンの「歴史の授業 息子ザヤーへ」に泣いた。みじかい言葉が、息子への愛で溢れていた。息子は逝った。