東京裁判における通訳 / 武田 珂代子

東京裁判における通訳

東京裁判における通訳

東京裁判を通訳というきりくちで書かれた本は初めてなので、興味深く読んだ。以前読んだ米原真理さんの本で「通訳って大変なんだ!」と思ったけど、これが裁判、ましてや国と国とのそれを裁く場だとしたらどんなに大変なんだろう。もちろん通訳者・モニター・言語裁定官という仕組みで行われていたけれど、米側で日本語を理解している人は少ないし、二世の通訳者とはいっても経験が少なかったり。当時の音声や資料を検証した武田さんの結論「通訳によって結果が翻る可能性はなかった」ということが、ある意味救いだったかもしれない。
世界にはたくさんの国があり、たくさんの言語がある。意思の疎通を図るには、(自分で覚える以外に)通訳者を信じるしかない。その危うさを思うとき、改めてザメンホフってすげーなと思う。