冬のかたみに / 立原正秋

冬のかたみに (1975年)

冬のかたみに (1975年)

以前もこのブログに書いたけど、心が荒れてくるとこの本をつらつらと読んでしまう。他作は恋愛ものが多いけど、自叙伝的作品と言われる本作は、臨済の教えが静かに流れている。過酷な人生の中でもブレなかったのは、老師や虚白堂清眼の愛に裏付けされたまなざしと厳しさがあったからかもしれない。
無駄の無い禅宗の、確かな教えが私の中の何かに呼応する。自分の帰る場所はやはりここなのだろう。