裁判官の爆笑お言葉集 / 長嶺超輝

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)

タイトルは「爆笑」とあるが、笑えなかったなぁ。以前読んだ「死刑執行人の苦悩」(大塚 公子著)と同じく、ここにもまた、苦悩の人がおられるのだ。裁判官の責務の重さを考えるとき、死刑そのものの是非に辿り着く。凶悪犯の命を奪っても罪が消える訳ではないし、被害者は戻ってこない。片や、被害者の立場に立ったら、死刑を望むだろう。自分に置き換えると、永遠に答えは出ない。しかし彼らは、仕事として命の期限を下すのだ。悩みに悩んで首つり自殺した判事がおられたのも分かる気がした。死刑判決の章は、「苦悩のお言葉集」って感じ。
とはいえ別の章では裁判官に親しみを覚えた。ロリコン元判事には「エロじじい」と言ったり(笑)、「ここで我が子を抱きなさい」と被告の心に語りかける裁判官がいるということが分かっただけでも「あ、人だ」なんてほっとした。
いずれにせよ、過酷な仕事。どうして裁判官になったのか、次はそんな本を期待したい。