たぶん僕はいま、母国の土を踏んでいる / 李朋彦

たぶん僕はいま、母国の土を踏んでいる。

たぶん僕はいま、母国の土を踏んでいる。

何故この本を手にとってしまったのか。私は在日の方々の苦しみが全く分からないので、OさんやUちゃんが何を思っていたのか知りたかったのだと思う。本書は李朋彦さんの子供の頃から今に至るまでのことが綴られている。当初名乗っていた日本名から、韓国名に変わっていったときの周りのひとびと、苦労した両親や祖父母のこと、母国へ帰ってからの想いなどなど、どうしてこと在日となると問題が複雑になるのかと思うのは、私が彼らを詳しく知らないからか。特に李さんは生みの母と育ての母とが違う。大人になってからの生みの母親との対面のお話は涙が出てしまった。苦労・苦労・苦労のかなしみ。最近大久保近辺をよく通るのだが、韓流ブームの華やかな面の影に、このような悲しい歴史があることも忘れてはならないと思う。でも詫びる気持ちのままではいけない。発展してゆかねばならない。