虹 / 吉本ばなな

虹

あぁなんか、ほんとうに読んでよかった。タヒチアンレストランで働く瑛子の越し方と、ご主人様との行く末。特にご主人様が告白するあたりから、とてもとてもよかった。瑛子のこころの動きや最後のfaxとか、ご主人様の行動とか、こころがきゅうっとなった。こういう書き方って、ほんとに誰かを愛したことがないと書けないだろう。加齢には、物語に共感する機会が増える楽しみある。
ばななさんの本に出てくる男性は、とても品があって好きだ。「白河夜船」の岩永さんといい、この本のご主人様といい、身のわきまえかた、丁寧なものいいが私のツボにハマる。立原正秋作品の女性のように、こんなひといないかもしれないけど、あこがれててもいい。