日本の空をみつめて / 倉嶋 厚

日本の空をみつめて―気象予報と人生

日本の空をみつめて―気象予報と人生

気象予報官、気象台長、NHKの気象ニュースキャスターなど、永きに渡り気象と関わり続けた倉島さんのエッセイ。倉島さんの回顧を通して、気象予報の変遷、現場のご苦労、空に馳せる想いなどが感じられて、勉強にもなったし、じーんともした。
昭和28年、奥様ともども肺結核での療養生活。同僚には先を越され・・・の中、氏が先生に言われた言葉は私の心にも染み、図らずも泣けてきた。

「冷たい言い方に聞こえるかもしれないが、君はいま人生で、いわゆる"後れ"をとったのだ。たぶん、それは、いつまでも君の人生につきまとうだろう。人それぞれに、いろいろな不利の条件がある。君には、その条件が、いま新しくできたから、不幸と感じるかもしれないが、不利は不利として、敢然と背負う以外に道はない。禍転じて吹くとなるなんて、安易に期待しない方がよい。辛抱とは、そういうものだ。」

「やる」ことは簡単(かも)だけれど、「やり続ける」ことはとてもとても難しい。ひとつのみちを歩いてらした倉嶋さんのひたむきさを想う。
二章冒頭「秋高気爽、晴空万里」は、まさにいま時期。同名の甥にも教えてあげよう。