刑務所良品 / 都築 響一

序文の「君の実家に行けばきっとイヤというほど見つかる(中略)デザイン、という言葉を使うのさえこっぱずかしい日用品」だけど「どこにもありそうで、どこにもない」、全国各地の刑務所で作られた製品カタログって感じ。醤油や函館少年刑務所の獄グッズは知ってたけど、まさかお神輿やオーダーメイド靴まであるとは。純粋な良品としてリピーターがいるのも頷ける。
本書はいくつかの刑務所が紹介されているのだけど、「夏に来てくれればよかったのに、ウチはカラフルですから・・・腕が。」と強烈なギャグではじまる広島刑務所、20数年前中野刑務所で木工を覚えて以来「入るたび、木工に配属されてます」という受刑者の声、入所年月を考慮した配属の大変さなど、いずれも興味深い。
その昔、付き合った彼のお父さんが刑務官だった。「アネキが嫁ぐ時、婚礼家具はCAPICで揃えた。でも相手の両親はいい顔をしなかった。」と言っていた。色々な見方はあるけれど、製品にターゲットをあてた時、安売り製品にはないすばらしさを純粋に感じる。まさに刑務所良品。読んで良かったなぁぁぁぁ。