素顔のダライ・ラマ / ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ, ビクター チャン

素顔のダライ・ラマ The Wisdom of Forgiveness

素顔のダライ・ラマ The Wisdom of Forgiveness

本書はビクター・チャンが、1972年カブールで誘拐されたことがきっかけで親交をもったダライ・ラマのPrivateを取材したもの。。小鳥の餌を奪う鷲を追い払う用として部屋にあるライフル、食事の仕方、部屋の過ごし方とか、興味深いことばかり。んでも、さまざまな書物や講演で知ったダライ・ラマと、印象が大きくかわることは、ない。むしろ益々好きになる感じ。
とりわけ印象的だったのは、ビクターが「穏やかな心でどうやって養うのか」という質問に「分析によってです」とおっしゃったこと。パトナでの腹痛事件を例に挙げ

「私はこのように分析します。もしこの痛みをなくす手段があるのなら、心配する必要はないと。解決法があるのですから。その反対に、解決法がないのなら、心配してもしかたがないと思います。何の処置もないのですから。それにもう一つの分析法として、その時自分に起きている痛みを別のもっと大きな痛みと比べてみるという方法もあります。そうするとすぐ、『それに比べるとこの痛みはたいしたことはない』と思えるようになります。ですから、すぐ気分が良くなります。」

ダライ・ラマの本を読むたびに感じるのは、仏教アプローチって、とてもうまいというか、具体的な智慧があふれているということ。カーネギーの「人を動かす」とかとは全然違って、もっと奥が深いというか、優しさに基づいているというか。今回も最後まで「あぁ」と思うことしきり。全く実践できていない自分を思うと情けなくなるが、自分の中に落とし込んでもっと考えてみたら、昨年よりは1mmくらい成長できるのかもしれない。