原爆で死んだ米兵秘史 / 森 重昭

原爆で死んだ米兵秘史

原爆で死んだ米兵秘史

無理もないが、戦争に関する日本の報道は、日本側だけの見方である事が多い。大河ドラマ篤姫」曰く「一方聞いて沙汰するな」とすると、米はどうだったのか? 米兵士はどうだったのか? を、ひとつ知ることができる一冊。これは原爆で被爆した米兵がいたという事実を、同じく爆心地で被爆した森さんが、長年調べていったものだ。
何故エノラ・ゲイの計画を知っていた米兵が被爆したか。それは彼らが捕虜として広島に勾留されていたためだ。捕虜になったのは、飛行機が撃墜されたから。ある者はパラシュートが開かず落下死、ある者は海で漂流していた所を漁船に助けられ捕まり、いずれも最後は死であった。そのひとりひとりは名前まで挙がっているのに、アメリカは近年までその事実を公式に認めなかった。森さんを通じて事実を知ったご遺族は衝撃極まりないであろう。
日本人が涙したように、アメリカ人も涙していた。どちらにとっても、戦争は辛く悲しいこと。よきものは決して、もたらさないものだ。