アーミッシュの赦し / ドナルド B.クレイビル, 青木玲

アーミッシュの赦し――なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

アーミッシュの赦し――なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

さきのペンシルバニア州 アーミッシュのコミュニティの学校で起きた銃乱射事件。5人の女の子が撃たれて亡くなり、犯人も自殺した。被害者家族は事件直後、犯人の遺族に対し「私たちは許します」と伝えた。この行為に象徴されるように、アーミッシュは、敬虔なキリスト教徒であり、前近代的なライフスタイルや「赦し」の集団だ。
私自身は「何故赦せるのか」と、ずっと気になっていた。アーミッシュに対して肯定的なこの本の中で「相手に赦しを与えるのは、一歩でしかない」とあったが、完全に赦せなかったとしても、赦そうする行為は、とても大きな一歩ではないだろうか。もちろん本心は複雑な思いがあっても。ただただ凄い、と思う。
ただ彼らのシャニングについては謎だ。殺人犯を赦すことと、コミュニティから外れた者への対処が相反する。別に「統一性を持つ方が正しい」とも思わないけど、結局は裁きを行ってるじゃんって感じ。排他的なことも不思議だなー。否定的ではないけど、キリスト教の極端さを想う。
でも総じて興味深い本だった。「大草原の小さな家」的なの、どうも惹かれる。うーむ・・・。