岐路

彼にはもうすぐ子が生まれる。それでも彼の子を欲しいと思う私は狂気の沙汰か。「結婚しろ、子を産め」と言う彼の言葉に、どれだけ、本当にどれだけ傷つくか、彼は知らない。私は彼が幸せならそれでいいと心から思っているし、「するな」なんて言葉も全く望んでいない。ただ静かに聞いて欲しかっただけ。これ以上傷つく言葉に耐えられる自信はもう、ない。私が他の人と結婚すると決める事は、あなたと一生会わないという事だ。たとえ「友達として」も存在しない。それを承知の上で、あなたの素直な本心は言葉にするほど「結婚しろ」なのか。運命を信じているけど、それは彼にとって迷惑なのかもしれないな。私が彼に「元気でいてほしい」「大切な友達」以外、何も望んでなくても。今の友達関係ですら迷惑なら、私は喜んで去ろう。彼がこの世のどこかで、笑顔で生きていてくれたら、それが一番嬉しいことだし、迷惑だけはかけたくないから。大切な家族と、どうかずっと幸せに。いいパパになってね。
耳を塞いで、このままそっと消えてしまいたい。彼がパパになる秋、その前に。