壁のない風景―ハンセン病を生きる / 井上佳子

壁のない風景―ハンセン病を生きる

壁のない風景―ハンセン病を生きる

井上さんの長い取材の中で描かれた本だけあって経過がよく分かり、余計に堪えた。いくら「らい予防法」が廃止されたとしても、歴史は消えない。肉親から拒否される辛さ、子を産めない辛さ、想像するだけでも言葉を失う。
「太郎」という名の人形を、わが子として大切にしてきたご夫婦のお話には涙が止まらなかった。これは事実だ。平和な日本のすぐそこで、公然と行われてきた事実なのだ。私達は目を背けてはならない。